2022年1月25日、株式会社不動産経済研究所より「首都圏 新築分譲マンション市場動向」が発表され、2021年の首都圏で販売されたマンション平均価格は6,260万円となり、バブル期の1990年(平均6,123万円)を上回り、過去最高となりました。
日本の低い経済成長率、他の先進国とは違い賃金が上昇しない状態が続くなか、新型コロナウイルスの発生。
なぜ、そのような状況において新築マンションの価格は上昇し続けるのか、疑問に思う方も数多くいらっしゃるとは思いますので、今回は「供給戸数」という観点から価格上昇の理由をお伝えしたいと思います。
以下の表はここ数年の供給戸数の推移です。
「需要と供給の法則」という言葉を何となく知っている方は多いかとは思いますが、簡単にお伝えすると「需要が供給を上回れば価格は上昇し、供給が需要を上回れば価格は低下する」というものです。
首都圏、特に23区には毎年人口が超過流入しておりますので、「新築マンションを購入したい層」は毎年一定程度存在するかとは思います。一方、供給戸数に着目すると、実は新型コロナウイルスが発生する前の2019年の供給が対前年比で▲15.9%と減少し、更に2020年は緊急事態宣言等の影響により▲12.8%と減少し、2019年・2020年の2年間は供給が大きく減少していたのでした。
よって、供給が減少したことにより、供給<需要という状態になり、価格が上昇したものと考えられます。なお、別の機会にお伝え出来ればとは思いますが、新築マンションの供給減少により、需要者層は中古マンション市場に流れ、中古マンションの価格も大きく上がっております。
2021年の供給戸数は33,636戸と、前年に比べ増えておりますが、過去の供給戸数に目を向けると、何と2000年は95,635戸、約10年前の2010年は44,535戸、2011年は44,499戸もありました(いずれも株式会社不動産経済研究所発表)。過去の時点は、都心部にもマンションに適した用地が多くあり、ある一定数以上のマンション供給が可能であったと考えられますが、現在は都心部の再開発が進み、マンション用地が枯渇しているものと考えられます。
土地がなければ供給出来ないことから、今後も大幅に供給が増えることは考えづらく、しばらくは需給バランスが逼迫した状況が続き、マンション価格も高い価格で推移することが想定されます。
コロナ禍における23区の人口流出という状況は少し気になりますが。。。