住宅として使用している土地の固定資産税・都市計画税には特例があり、その土地に住宅が建っている場合と建物等がない更地の場合(例えば時間貸し駐車場等も含まれます)には、固定資産税・都市計画税の税額は異なります。

土地面積が200㎡以内の場合には、小規模住宅用地として、固定資産税の課税標準額は1/6、都市計画税は1/3となります。多くの自治体は、固定資産税の税率が1.4%、都市計画税の税率が0.3%ですので、固定資産税・都市計画税(合わせて固都税とも言われます)の計算式は以下となります。

① 固定資産税評価額×1/6×1.4%+固定資産税評価額×1/3×0.3%=住宅が建っている場合の固都税の税額

一方で、土地上に住宅等が経っておらず、更地となっている場合や時間貸し・月極駐車場として利用されている場合等は、小規模住宅用地の特例が適用されませんので、固都税の計算式は以下となります。

② 固定資産税評価額×課税標準70%×固都税税率合計1.7%=更地の場合の固都税の税額

②の課税標準は自治体や地価上昇・下落により調整が入りますので、60~70%の間になることが多いのですが、①と②を比較すると、更地の場合は住宅が建っている場合に比べて税負担が3~4倍になると言われております。少し話しが逸れますが、「建物を取り壊すと固定資産税が6倍になる!」と言う方がおりますが、これは固定資産税の1/6が適用されなくなるので6倍と言いたいのかと思われますが、都市計画税もありますし、更地の場合には課税標準70%が適用されますので、「6倍になる」という表現は誤りです。

この様な小規模住宅用地の特例等は、実際に不動産を所有する方にとってはメリットなのですが、現実問題としては一部弊害が出てきております。総務省の統計によれば、2018年の空き家数は全体で849万戸ありますが、賃貸や売却用等を除いた居住目的のない空き家は349万戸と全体の約41%を占めておりますが、空き家の数が多い1つの要因として「相続」が挙げられます。

例えば、親が亡くなったことにより、元々自分が育った地方の実家を相続することとなったとしても、その実家を利用する人がいないケースも多いかと思います。その空き家となった実家がそれなりの人口減少地域の場合、賃貸することや売却することが容易でないことも多く、「建物をそのままにしていれば固定資産税の特例が受けられる状況であり、固定資産税の負担もそこまで高くない。解体費用は高額であり、解体すると固定資産税が上がってしまうことから、とりあえず建物はそのまま」というケースも多いかと思います。相続することになった空き家を適切に管理していれば問題は起きないのですが、現実的には、ノウハウ・資金・時間・距離的な問題で放置されている空き家が多くなってきていると思います。

そういった空き家に対処するため国がどう動いているのか、次回説明したいと思います。