放置される空き家の増加を防ぎ、空き家の活用や適切な管理を促すための関連法改正案を、政府は3月3日に閣議決定しました。空家対策特別措置法の改正案を今国会での成立を目指しているとのことです。
平成27年5月に空家対策特別措置法が成立し、「特定空家等」に指定された家屋の敷地については、前回説明した固定資産税・都市計画税の特例が適用されなくなる、というのが現在の状況です。「特定空家等」とは、①倒壊等著しく保安上危険となるおそれの状態、②著しく衛生上有害となるおそれのある状態、③著しく景観を損なっている状態、等に該当する家屋を指します。
ただ、高齢化が進むことにより相続が増加し、地方を中心とする空き家の増加が確実であることから、現在の法令を改正することにより、特定空家等の予備軍である「管理不全空家」も固定資産税等の特例を適用対象外とすることが、政府の目的となっております。概要としては、そのまま放置すれば「特定空家等」になる空き家を「管理不全空家」に指定し、市区町村が指導や勧告を行っても改善されない場合は固定資産税等の特例対象外とする方向です。
とはいえ、空き家を所有することとなった相続人等にとっては、①適切に維持管理する、②賃貸することにより賃料収入から修繕・管理費用を生み出す、③管理不全空家になる前に売却する、といったことも簡単には対応できないと思います。
そのため政府としては、
・空家等活用促進地域の指定・・・接道規制や用途規制を合理化し、用途変更や建替え等を促進
・空家等管理活用支援法人・・・空家等の管理や活用に取り組むNPO法人、社団法人等を空家等管理活用支援法人として指定し、物件のマッチング等を促進
といった制度を導入することを検討しています。
新法や税制改正は、その時の社会情勢等に対応して新しく定められていくものですが、新法や税制改正の内容をしっかりと把握し、うまく活用・対応していくことが大事であると思います。