今回は、離婚における不動産鑑定について、少しお話ししたいと思います。
よく、「夫婦3組に1組が離婚する」とも言われておりますが、自分の友人・知人を見渡すと、それぐらいの確率であるとは思えるものの、実際のところどうなのか、少し調べて見ました。
厚生労働省発表の「令和3年 人口動態統計(確定数)の概況」によれば、令和3年における婚姻件数は501,138件、離婚件数は184,384件でした。この件数を単純比較することにより「3組に1組」が離婚していると言われているのかと思いますが、令和3年の婚姻件数と・離婚件数を単純比較すればいいものではなく、実際のところは婚姻した夫婦がどれくらいの確率で離婚するのかを把握するのは困難な模様です。統計上1つ出ているのは、「離婚率」と言われている、人口1,000人あたりの離婚件数です。令和3年の離婚率は1.50なのですが、人口1,000人あたりで考えるとすごく低いのかなと感じてしまいます。
不動産鑑定の話しをしたいと思いますが、相続・遺産分割だけでなく離婚においても不動産の評価が問題となることがあります。自宅等の不動産が共有財産となっている場合、離婚時に売却するのであれば売却により得た金額を夫婦それぞれに合理的に配分すればいいのですが、一方の持分を他方が買い取る場合には「幾らで買い取るのか」等、金額で揉めることも多いと思います。そういった場合、不動産会社の無料査定で折り合いがつく場合もありますが、そうではない場合には不動産鑑定士に依頼するということもあり、私も離婚を原因として依頼を受けたこともあります。
ただ、相続・遺産分割に比べると、離婚による不動産鑑定というのはかなり少ないのですが、以下の要因が挙げられるのかと思います(私見含む)。
・対象となる不動産が、一戸建てやマンション1室などが殆どであり、不動産会社の無料査定でも対応可能なケースが多く、有償である不動産鑑定を選択するケースが少ない
・相続や遺産分割の場合、財産の取り分を多くすることが目的であるが、自分の取り分を多くするためには費用を払ってでも不動産鑑定を頼むケースがそれなりにある
・離婚の場合、財産の取り分を多くすることが目的ではなく、男性・女性ともに離婚をすることが第一の目的であるため、財産分与で争うと離婚手続きに時間がかかってしまうことから、財産分与での争いを回避しようとする
とはいえ、弁護士含め専門家に頼らずに個人で離婚を進めることによって、思いの外、大きく損をしてしまう(損をするというのも変な言い方ですが)こともありますので、離婚の際は、専門家に相談することをお勧めします。