今から約2ヶ月前の2024年9月24日付日本経済新聞の記事では、「都内中古マンション17年ぶり上昇率」という見出しの記事がありました。「高騰する中古マンション市場」というタイトルでのコラムを2022年5月に投稿しておりますが、まだまだ価格上昇を続けております。不動産業者からも「まだまだ価格は上がる」「相場感という感覚や常識を一旦リセットしないと」という声も聞こえてきたりしますので、どの程度価格が上昇しているのか改めて整理したいと思います。(公益財団法人東日本不動産流通機構公表のレインズデータライブラリーに基づきグラフを作成しております)

コラムでも触れておりますが、価格を決定・価格が上昇下落するのは「需要と供給」によって決まりますので、今回も需要と供給の観点からグラフ・データについて解説していきたいと思います。


まず1つ目のグラフは、「2019年1月以降における東京都内 中古マンションの在庫と成約㎡単価の推移」です。在庫については、コロナ禍における住宅需要の増加による在庫減少→供給増による在庫増加→2024年以降はまた在庫減少というトレンドになっておりますが、成約㎡単価に関しては一貫して上昇を続けており、2019年1月は67.81円/㎡だったものが2024年10月は104.64円/㎡と約1.5倍にもなりました(びっくり)。70㎡換算すると、4,747万円が7,325万円です。7,325万円のマンションなんて庶民は買えないじゃないですか、皆さんお金持っていらっしゃいますね、という感覚です。


2つ目のグラフは、「同期間・同エリア 中古マンションの在庫と成約件数の推移」です。

オレンジの折れ線グラフである成約件数は上下動しているものの、赤の点線が成約件数の平均ラインですので、成約件数の上昇下落のトレンドはあまり見られておりません。ですので、成約件数(需要)はあまり変動がないものの在庫は増加・減少しているので、このグラフからはややしっくりしない感じがします。


そして3つ目のグラフは、「同期間・同エリア 中古マンションの新規登録件数と成約㎡単価の推移」です。1つ目・2つ目のグラフで、2023年以降在庫が積みあがって来たことが分かりますが、一方で3つ目のグラフでは2023年以降、新規登録件数(売り出し物件)が減少傾向にあることが分かります(直近10月は増加しましたが)。よって、在庫が積みあがってきたものの、新規登録件数(売り出し物件)が減少傾向にあることから、需要と供給のバランスにおいては供給過剰になっておらず、堅調な需要(2つ目の折れ線グラフにより、一定の需要が存在していることが分かる)に支えられ、成約価格が上昇傾向にあるということが分かりました。

やはり、なぜ価格が上昇するのかを分析する時に、需要と供給の状態を調べてみることが大事ですね。

次回は、住宅ローン(変動金利)の上昇がどの程度価格に影響を与えるのか考えてみたいと思います。